写真989以下写真は全て中央卸売市場付近(ミヤチク前)です。中央分離帯にワシントンヤシ、下部の低木は、モッコク(ツバキ科モッコク属)とハマヒサカキがかなり大きくまとまった形に仕立てられ、交互に配置されています。また一部にはヒバ類(オウゴンイトヒバ)なども使われています。
手入れのいい道路ですが、特に中央分離帯にクロマツが形良く仕立てられていて景観を引き立たせています。
なお、モッコクについては、剪定が激しいので、普段見るモッコクとはいささか印象が違うので迷いました。普通高木の下部に刈り込んで使われるシャリンバイ(バラ科シャリンバイ属)ではないかと思いましたが、仕立の内部奥の枝葉を調べてみると、明らかにシャリンバイとは違います。
シャリンバイはハマモッコクという別名があるようによくにています。果実はシャリンバイは丸く黒熟するのに対してモッコクは裂開して赤い種子が目立つので全く違いますが、他はなかなか区別する差が明瞭ではありません。しかし葉の裏面がモッコクは灰白緑色で表裏の色がシャリンバイより明瞭なこと、裏面の葉脈がシャリンバイは極めて微細な網目模様があるのにたいしてモッコクは支脈以外は殆ど模様がないかあっても荒っぽい模様ですので区別がつきます。また、モッコクの葉は殆ど全円ですがシャリンバイの葉はしばしば鈍鋸歯があります。
モッコクがこのように低く仕立てられて高木の下部を飾っている街路は、珍しいのではないでしょうか。
一ツ葉有料道路は、この先、宮崎臨海公園付近から高架道路となりますが、基本的にはこのパターンです。
ただ、ワシントンヤシは、途中ビロウではないかと思うものもあったように感じました。
ワシントンヤシとビロウとの区別その他詳細は、大淀地区の街路樹の項で取り上げました。
また、低木仕立ての植物は、中央分離帯だけでなく、左右にも配されています。その種類は、上記の植物のほか、サザンカ(あるいはカンツバキ)、トベラ(トベラ科トベラ属)なども使われています。
なお、一ツ葉有料道路は宮崎港、カーフェリー乗り場あたりは県道10号線ですが、その付近の中央分離帯は、モッコクではなく、シャリンバイが使われています。
1036 クロガネモチとワシントンヤシ 山崎街道 03.2.17
最近整備が進んでいる宮崎市東部、日豊本線東側の宮崎港、みやざき臨海公園、阿波岐ケ原森林公園、シーガイアなどの一帯は、ワシントンヤシ、ビロウなどの街路樹が計画的に植栽されているようですので、東部郊外編として調査しました。
1034 クロガネモチとワシントンヤシ 山崎街道 03.2.17
1051 ツバキとサツキ、中央はサツキ 青葉通り 03.2.19
1053 クスノキ 青葉通り〜一ツ葉通線 03.2.19
1054 クスノキ 一ツ葉通線 03.2.19
1035 クロガネモチとワシントンヤシ 山崎街道 03.2.17
まず、最近新しい道路の多い宮崎市東部(宮崎港〜臨海公園〜シーガイア)から見てみます。
道路は、一ツ葉大橋から宮崎市東部を南北に走る山崎街道(県道11号線)を中心に見ていきます(地図参照)。
旭東通りから山崎街道に入ると、中央分離帯のワシントンヤシが目立ちます。左右歩道寄りはクロガネモチです。写真1034は、山崎街道の入り口一の宮付近です。ここから山崎街道を北に調査します。
中央分離帯のワシントンヤシの根元には、キヅタ類(ヘデラ・カナリエンシス)やいろいろの草花が植えられているようです。このパターンが山崎街道の基本です。左右のクロガネモチは、山崎街道全線にあるとは限らないようですが、ワシントンヤシは猿野交差点(地図参照)まで続きます。
猿野交差点から先は、道路幅が狭く、今のところ街路樹はないようです。
写真1035は、同じく山崎街道の新別府川の南側付近です。前方は青葉通りから一ツ葉通線を経て中央卸売市場へ行く道路と交差します。
ここで、まだ紹介していなかった青葉通りも見てみます。
写真1051は、青葉通りメモリードホール前から東へ山崎街道方向を撮ったものです。ツバキとサツキツツジの組み合わせです。
青葉通りはこの後一ツ葉通線となり、左右はクスノキ並木に変わって山崎街道と交差し、さらに中央卸売市場を経て一ツ葉有料道路へ結びます(1053、1054)。
山崎街道に戻って、さらに北へ向かうと、北権現通りと交差します。写真1036の前方がその交差点です。
北権現通りは、江平通りから東へみやざき臨海公園マリーナに達する新しい道路です。
江平通りに近いところはすでに調査しました(クスノキ、シラカシ、イチイガシ)ので、山崎街道より東側、マリーナまでを見ます。
山崎街道から東に右折すると、左右のイチイガシは変わりませんが、中央分離帯にはジョオウヤシが見えてきます。写真849は、北権現通りを臨海公園側から山崎街道向けて撮ったものです。
ジョオウヤシとイチイガシの組み合わせは、運転試験場、一ツ葉有料道路付近まで続きます。
写真972は臨海公園近くで撮ったものです。
ジョオウヤシは、普通の植物図鑑には載っていません。県立図書館でもジョオウヤシの記載してある図鑑類は見つかりませんでした。
県の総合運動公園内には、見事なジョオウヤシ並木がワシントンヤシ、フェニックスなどとともに公園内の代表植物のように植栽されていますが、一般的な植物ではないのでしょうか。
そこで、公園内の県都市公園総合事務所で文献を調べてもらったところ、「ジョオウヤシ(女王椰子)別名ギリバヤシ、学名:Arecastrum.romanzoffianum.Becc.原産ブラジル 庭園用、温室内の観葉植物として栽培する。渡来明治末年(以下略)」という記述がありました。
ジョオウヤシは、このほか、臨海公園内や青島付近の220号線バイパス、日南市の街路樹などに使われています。
849 ジョオウヤシ 北権現通り 江田6号橋付近 03.2.7
972 イチイガシ 03.2.13
北権現通りは一ツ葉有料道路と立体交差して臨海公園に突き当たりますが、このあたりの中央分離帯は、ビロウに変わります。左右はソテツをまじえたシャリンバイ(バラ科シャリンバイ属)の植え込みになっています(847)。
シャリンバイの葉は変異が多く、とくに葉の丸いものはマルバシャリンバイの名で区別されることもあるといいますので(世界大百科事典)、ここのシャリンバイはマルバシャリンバイではないかと思います。
臨海公園内には、ワシントンヤシ、ジョオウヤシ、ビロウ、アコウ、サルスベリ、ナンキンハゼ、ソテツなど多くの植栽がありますが、今は街路樹調査ですので、その写真は別調査に譲ります。
847 中央ビロウ 左右ソテツ・シャリンバイ 臨海公園前 03.2.7
4709 ソテツとシャリンバイ 03.12.16 同
1873 シャリンバイの花 03.4.24
4708 シャリンバイの果実 03.12.16
1031 ビロウ 阿波岐原病院前東向き 03.2.17
1032 ビロウ 阿波岐原病院前西向き 03.2.17
1006 ビロウとサツキ 猿野交差点から西 03.2.14
山崎街道をさらに北に向かうと、猿野交差点があります。
山崎街道はここから先、山崎町を経て阿波岐原市民の森へ続きますが、道幅が狭くなり、街路樹はありません。
ここでも、猿野交差点を東西に横断する道路を調べます。この道路も北権現通りと同じく新しい広い幹線道路で、街路樹も整備されていますが、街路名が分かりません。
この道路の東端は、シーガイアのテニスクラブで、そこから西へ東大宮小学校横を通り、日豊本線、10号線と交差し、矢の先町を経て平和台大橋に結ぶ幹線道路ですが、現在、東大宮小学校から日豊本線、10号線と立体交差する部分が工事中となっています。
街路名は全線開通してからつけるのでしょう。工事現場の事業名表示が下北方通線改良となっていましたので、仮に下北方通りと呼んでおきます。
すでに完成済みの平和台大橋に至る街路は先に紹介したとおり、クスノキ並木です。
写真1031、1032は下北方通りのテニスクラブ付近ですが、街路樹はビロウです。
写真1031の正面がシーガイアのテニスクラブです。
この仮称下北方通りは、ビロウがメインで、猿野交差点から先(1006)も、左右はビロウとサツキツツジ、中央分離帯はハマヒサカキの組み合わせとなっています。このビロウは、工事中の東大宮小学校横まで延々と続きます。
(下北通りの立体交差は、04年2月19日に完成しました。街路名は下北方通線だそうです。市公園緑地課から。)
山崎街道に戻り、下北通りと並行的にもう一つ北側を東西に横断する路線があります。東端がシーガイアのオーシャンドームで、ドームからフローランテ宮崎の前を通り、西へ西へと進み、結局は10号線を突っ切って平和が丘〜相生橋に通じる将来の宮崎西環状線(9号線)です。
この宮崎西環状線についても、街路樹を調べてみます。
まず、ドームに近いところから始めます。
写真988および1022は、ドームを正面に見た地点、1007は、ドーム近く、山崎街道を越えて、宮崎ガスのタンクが左に見える地点から西方向を撮ったものです。何れも、左右はビロウです。この道路(9号線)の南を並行して走る仮称下北方通りも左右の街路樹はビロウに統一されていました。
宮崎市東部の新しい道路は、どうもビロウを中心に修景が考えられたように思われます。
ただし、この先、大島通線近くになるとこの道路の両サイドは、ビロウからツバキに変わって大島通線と交差します(4714、4715)。大島通線から西(踏切へ)は街路樹はありません。
1020は、大島通線から逆にドーム方面を撮ったものです。両サイドにツバキ、その先がビロウ並木となっています。
988 ビロウ並木 宮崎西環状線 03.2.14
1022 ビロウ並木 宮崎西環状線 03.2.17
4714 ツバキ 宮崎西環状線 03.12.18
4715 ツバキの花 同上 03.12.18
山崎街道中心の街路樹調査は、ここで終わらせます。山崎街道そのものは、猿野交差点から市民の森へ延びていきますが、先に説明したように従来のままの道路で幅が狭く、街路樹はありません。
次に山崎街道と並行して走る、一ツ葉有料道路を調べてみます。
989 ワシントンヤシ 一ツ葉有料道路 03.2.14
1136 中央分離帯のクロマツ サンマリーナ付近 03.3.4
993 同中央分離帯 03.2.14
991 モッコク 同 03.2.14
994 モッコク 同 03.2.14
996 オウゴンイトヒバ 同 03.2.14
992 ハマヒサカキ 同 03.2.14
1037 シーガイア内のパークウェイ 03.2.14
1042 ブラシノキ パークウェイ 03.2.14
なお、一ツ葉有料道路は、フェニックスリゾートを南北に結ぶシーガイアのメイン道路「パークウェイ」とも繋がっております。このパークウェイは周囲の修景植栽はすばらしいものがありますが、街路樹というようなものではありません(1037)。
しかし樹種は豊富で、詳しく調べたわけではありませんが、この「みやざきの街路樹」で取り上げた植物の殆どをパークウェイ周辺で実際に手にとって見ることができるように思います。
パークウェイは阿波岐原森林公園の中を縦断する道路で、ゆっくり散策できる公園風のエリアですから、ここの植物に木の名前などのラベル(樹名板)を表示すれば、自然を愛する人々にとって、身近な植物園になるのではないかなど、勝手な想像をしました。
これら目についた木々については、別途参考資料(このページの後述参考資料)として掲げました。
山崎街道と並行して、宮崎市東部を南北に走る街路がもう一本あります。小戸之橋から昭和通りを経て住吉まで延びる大島通線です。この街路は、青葉通りで二分され、青葉通り以南は昭和通り、以北が大島通線となっているようです。
昭和通りは街路樹はありませんが、大島通線は青葉通りとの交差点からすぐに、左右クロガネモチの並木となります。写真640は、大島通線浮之城付近のクロガネモチの並木です。手入れが良く、美しい樹形をしています。下部のサツキツツジも綺麗に仕立てられています。
大島通線は、この先、北権現通りに近づくと(ベスト電器付近)、左右クスノキ並木となり、そのクスノキ並木は、終点の住吉付近まで延々と続きます。写真1009は、下北方通り(仮称です)との交差点付近の大島通線を市内に向けて撮ったものです。下部の低木の植え込みはありません。
640 クロガネモチとサツキ 大島通線 03.1.9
1009 クスノキ 大島通線東大宮付近 03.2.14
参考 パークウェイの植物
次は、大淀川以南について調べます。
p32
p 35
p 33
p 34
p 36
p 37
p 38
阿波岐原森林公園内のパークウェイ周辺で見かけた植物(木本のみ) | |||||||
植物名 | 植物名 | 植物名 | 植物名 | ||||
1 | アカメモチ | 16 | クロマツ | 31 | ツゲ | 46 | フヨウ |
2 | アコウ | 17 | ケヤキ | 32 | トックリヤシ | 47 | ブラシノキ |
3 | アベリア | 18 | ココスヤシ | 33 | トベラ | 48 | ホルトノキ |
4 | アメリカディゴ | 19 | コブシ | 34 | ナンキンハゼ | 49 | ムクゲ |
5 | アラカシ | 20 | ゴンズイ | 35 | ニシキギ | 50 | モチノキ |
6 | イスノキ | 21 | サザンカ | 36 | ネズミモチ | 51 | モッコク |
7 | イチイガシ | 22 | サツキツツジ | 37 | ハクモクレン | 52 | モミジバフウ |
8 | イチョウ | 23 | サルスベリ | 38 | ハゼノキ | 53 | ヤブツバキ |
9 | イロハカエデ | 24 | サワラ | 39 | ハナモモ | 54 | ヤブニッケイ |
10 | ウバメガシ | 25 | サンゴシトウ | 40 | ハマヒサカキ | 55 | ヤマウルシ |
11 | エノキ | 26 | シマトネリコ | 41 | ヒサカキ | 56 | ヤマモモ |
12 | キョウチクトウ | 27 | シャリンバイ | 42 | ピラカンサ | 57 | ユズリハ |
13 | クスノキ | 28 | セイヨウキズタ | 43 | ビロウ | 58 | ワシントンヤシ |
14 | クチナシ | 29 | センダン | 44 | ブーゲンベリア | 59 | |
15 | クロガネモチ | 30 | タブノキ | 45 | フェニックス | 60 |
阿波岐原森林公園の中を通るパークウェイについては、38ページに紹介しましたが、多くの植物の見本園のような感じがしました。
木の名前を表示するラベルをつければ貴重な植物園となり、近くの「市民の森」や「フローランテ宮崎」と相互に機能し合う、すばらしい自然環境が形成されるのに、などと勝手な想像をしました。
植物は詳しく調べたわけではありません。目についたものの例示です。まだまだ沢山の木々があると思います。