【※追記】
 オニバスの花を求めて佐土原の巨田大池に何度も通いましたが、果たせないまま半ば諦めていたとき、『青紫の花鮮やか 高鍋老瀬地区オニバス開花』の地元紙の記事(2011.10.6付け宮崎日日新聞)を見て、早速、現地に出掛けました。

 事前に高鍋支局の記者の方に道を教えて頂いたので、お陰で目的の加志揚溜池に何とか辿り着くことができました。
 カメラを持った先客の数人が、「溜池を探すのに苦労しました!」 と口々に言っておられました。

 大きな溜池ではありませんが、オニバスの葉が一面に広がる将にオニバス池ともいうべき溜池でした。

 
 地元紙の記事(2011.10.7付け宮崎日日新聞【うすでこ】)で知ったのですが、加志揚溜池のオニバスは、9月初めの花芽が台風で水に漬かってしまい、その後再び、たくさんの新しい花芽が水面に出てきたとのことです。
 
 10月10日〜17日の間、美しい開放花を探し、観察を続けました。 
 完全な開放花ではありませんが、青紫色の半開きのオニバスの花をいくつか観察できました。
 半開きの開放花も撮影しましたので、その時の写真を以下に、追加しておきます。

  木城町の岩淵池のオニバスの自生池には、これまで何回も足を運びましたが、今年も、岩淵池のオニバスは見られませんでした。
 オニバスは、一年生の水草で、多数見られる年と見られない年があり、 町役場によると、今年も無理とのことでした。

 そんな矢先、宮崎市佐土原の巨田大池のオニバスの開花情報に接したので、早速、巨田大池に出向きました。
 
 地元でも 巨田大池のオニバスの自生はあまり知られていないようでしたが、何とか、巨田大池のオニバスを観察する機会を得ました。

 しかし、花は、まだ咲いておらず、水面にたくさん顔を出している突起状のものが花芽なのか、花の終わった跡の果実なのか分かりませんでした。
  帰り際に、「花芽ですから、暫くしたら咲きますよ!」 と、堤防で草刈り中の地元の方から声をかけていただき、あらためて出直すことにしました。


 3日後、ようやく萼が開き始めているオニバスを観察しました。 
 しかし、開花には、まだ随分かかりそうです。

 観察の途中ですが、とりあえず撮影した写真を掲載することとしました。


 さらに3日後、3度目になりますが、蕾の様子見のため、巨田大池に出向きました。 写真のとおり、萼が開き始めているオニバスにさほど変化は見られませんでした。


 さらに4日後、オニバスの開花を見逃すまいと、巨田大池に向かいました。4度目のチャレンジです。
 萼が開き始めているオニバスの数は、少し増えていますが、依然として、開花はまだ先のようです。


 さらに1週間後、一面に咲くオニバスの美しい花に想いを巡らせながら、巨田大池に向かいました。
 巨田大池は、古くから越網猟という独特の猟方で鴨をとることで有名な場所で、猟期(毎年11.15〜2.15)は、池に近づくことができないそうですので、今回が花を撮影するラストチャンスです。

 ところが、残念なことに写真のとおり、水面に顔を出していたたくさんのオニバスの蕾は、円形の葉もろとも 水中に埋没してしまい、影も形もありませんでした。 
 前日の集中豪雨の仕業です。 池の水位が50cm位上昇していました。
 諦めきれない思いで、何度も広い巨田大池を見渡す始末でした。

 花は、来季に、是非観察したいと思います。

 なお、オニバスの開花のサイクルは、ハスと同様に一度平開した花びらが、夕方には元の蕾の形に戻り、翌日に再び開花を始めるそうです。



【オニバス(原色牧野植物大図鑑から)】
 本州,九州,及び中国,インドなどの暖帯から熱帯に分布。池沼中に生える1年生の水草。
 とげが多い。 
 種子から初めて出る沈水葉は、膜質の矢じり形で小形。大きくなると、水面に浮かび、径20cmから3mになる。裏面は暗紫色。
 花は、夏から秋,日中開き、夜間は閉じる。花径4cm位。
 種子は食べられる。
 和名の鬼蓮(おにばす)は、ハスに似て、とげがある意。

 
 【参考】
 オニバスは、春頃に水底の種が発芽し、矢じり型の葉が水中に現れる。
 茎は塊状で短く、葉は水底近くから水面へと次々に伸びていき、成長するにつれて、形も細長いハート型から円形へ変わっていく。
 円形の葉は、丸くシワだらけの折り畳まれた姿で水面に顔を出し、広がる。
 円形葉の大きさは、直径30cmから3m程度と巨大。

 花は、水中での閉鎖花が多く、自家受粉で100個程度の種子をつくる。種子はハスと違って球形で直径1cm程度。
 8月から9月ごろに、葉を突き破って花茎を伸ばし、紫色の花(開放花)を咲かせることもある。

 種子はやがて水底に沈むが、全てが翌年に発芽するとは限らず、数年から数十年休眠してから発芽することが知られている。
 また冬季に水が干上がって、種子が直接空気にふれる等の刺激が加わることで発芽が促されることも知られており、そのため、自生地の状態によっては、オニバスが多数見られる年と見られない年ができることがある。

DSCN9808オニバス 11.10.12 高鍋町加志揚溜池

P1150909-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

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P1150985-3オニバス 09.11.03宮崎市佐土原 巨田大池

P1160058-3オニバス 09.11.07宮崎市佐土原 巨田大池

P115091-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

P1150902-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

P1160100-3水没したオニバス 
09.11.14宮崎市佐土原 巨田大池

DSCN9626オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9849オニバス 11.10.17 高鍋町加志揚溜池

DSCN9622オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9650オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

P1150955-3 開き始めたオニバスの花芽 
09.10.31 宮崎市佐土原 巨田大池

DSCN9879オニバス 11.10.17高鍋町加志揚溜池

DSCN9766-1オニバス 11.10.09高鍋町加志揚溜池

P1150887-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

DSCN9712-1オニバス 11.10.09高鍋町加志揚溜池

P1150886-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

DSCN9865オニバス 11.10.17 高鍋町加志揚溜池

DSCN9637オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

P1150937-3オニバス 09.10.31宮崎市佐土原 巨田大池

P1150896-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

P1160062-3オニバス 09.11.07宮崎市佐土原 巨田大池

P1160099-3水没したオニバス
09.11.14宮崎市佐土原 巨田大池

P1150918-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池

オニバス  スイレン科  オニバス属   別名 ミズブキ   国:絶滅危惧U類
                                     県:絶滅危惧TA類

DSCN9606オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9805オニバス 11.10.12 高鍋町加志揚溜池

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DSCN9638ニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9633オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9589オニバス 11.10.07高鍋町加志揚溜池

DSCN9815オニバス 11.10.12 高鍋町加志揚溜池

DSCN9749-1オニバス 11.10.09高鍋町加志揚溜池

P1150914-3オニバス 09.10.28宮崎市佐土原 巨田大池